塚本謙一の包丁講座01【包丁の研ぎ方】

両刃包丁の研ぎ方
1.砥石と刃の角度は常に一定に。
流し台などの上にぬれた雑巾を敷き、その上に充分水に浸した砥石をのせます。包丁は砥石に対して45度、刃の角度は包丁の峰の下に10円玉3~4枚挟むぐらいの角度に保ち、指先に力を入れないようにします。

2.包丁の表を研ぐときは、左手3本の指を刃の研ぐ部分に置き、指には力を入れず添えてリズミカルに動かします。研いでる部分の刃先にカエリ(金属のまくれ)が指の腹でザラッと確認できるまで研ぎます。カエリが出たら次の研ぐ場所に移動します。

3.刃は4ヶ所に分けて研ぐ。
刃全体を一度に研ぐのではなく、刃元から切っ先まで4ヶ所に分け、順次位置をずらしながら刃元から切っ先まできちんと研ぎます。切っ先から刃元へ研いでもよい。

4.裏は表より軽く研ぐ。
表が研ぎ終わったら、裏も刃元から切っ先まで表同様に4ヶ所に分けて研ぎます。裏を研ぐ刃の角度は、表より少し寝かせた10円玉2枚挟んだ角度に保ちます。刃先に出ているカエリが反対側(表側)にめくれるまで研ぎます。

5.砥石の裏の木台で仕上げる。
仕上げに、砥石の裏の木台に刃を当てて軽く引き、刃先の細かい金属のカエリをとります。最後に包丁を水洗いして、刃と柄を充分に乾拭きして終了です。


片刃包丁の研ぎ方
1.砥石と刃の角度は常に一定に。
流し台などの上にぬれた雑巾を敷き、その上に充分水に浸した砥石をのせます。包丁は砥石に対して45度に置きます。研ぐ角度は、切刃の角度のまま砥石にのせ、そこから峰を少し起こした角度で研ぎます。

2.包丁の表を研ぐときは図2のように持つ。
左手3本の指を刃の研ぐ部分に置き、指には力を入れず添えてリズミカルに動かします。研いでる部分の刃先にカエリ(金属のまくれ)が指の腹でザラッと確認できるまで研ぎます。カエリが出たら次の研ぐ場所に移動します。

3.刃は4ヶ所に分けて研ぐ。
刃全体を一度に研ぐのではなく、刃元から切っ先まで4ヶ所に分け、順次位置をずらしながら刃元から切っ先まできちんと研ぎます。切っ先から刃元へ研いでもよい。

4.次に裏を研ぐ。
表が研ぎ終わったら、裏も図4のように持ち、包丁の裏を砥石に平らにペタリと当てて、刃元から切っ先まで表より軽く研ぎます。刃先に出ているカエリが反対側(表側)にめくれるまで研ぎます。


5.砥石の裏の木台で仕上げる。
仕上げに、砥石の裏の木台に刃を当てて軽く引き、刃先の細かい金属のカエリをとります。最後に包丁を水洗いして、刃と柄を充分に乾拭きして終了です。

塚本謙一の骨董品講座02【骨董品の鑑定方法】

骨董品の鑑定方法
実物を見て鑑定してもらうと詳細な結果を知ることができる
画像で簡易鑑定をしてもらってから来店して詳しく鑑定
骨董品店のホームページには、鑑定を申し込むためのフォームが設けられています。フォームには名前や連絡先などの事項を入力し、鑑定して欲しい骨董品の画像をアップロードするようになっています。

これを使って簡易鑑定をしてもらうことができて、その結果を見てさらに詳しく鑑定して欲しい場合には、実際に骨董品の実物を持って来店して鑑定を受けることになります。その際に予約をするとスムーズに対応してもらうことができます。

骨董品店によっては予約が必須のところもあるため、注意が必要です。またある程度価値があるということが既に分かっていて最初から実物を見て鑑定してもらいたい場合でも、申込の際には写真を撮影して画像を添付するようになっている骨董品店が多いです。

そして、鑑定結果が出たら、その結果を見て買取をしてもらうかどうか決めます。買取をしてもらわない場合でも、鑑定料がかかる場合があります。どの程度かかるのかはお店によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

 

実物を持って来店するのが困難な場合は出張鑑定もある
骨董品は持ち運びしづらいものが多いです。また落としてしまったりぶつかってしまったりすると、壊れてしまう可能性もあります。そうなると、せっかく買取価値のある骨董品も台無しになりかねません。また、マイカーを持っている人の場合は、骨董品を持参して来店するということが比較的容易ですが、電車などで運ぶのはやや難しいでしょう。

そこで骨董品店の多くは、出張鑑定にも対応しています。鑑定士が自宅に出張してきて、骨董品を鑑定するので、自宅から持ち出さないで済みます。大きな骨董品を鑑定してもらいたい場合などにも便利なサービスです。

来店の場合と同様にホームページから申し込めるところが多く、写真が必要な場合もあります。申込をすると後日連絡が来て、日時を決める仕組みです。鑑定料の他に出張料もかかるため、どのくらいかかるのか予め把握しておくことが大切です。

また自宅の中に鑑定士を入れることになるため、玄関や骨董品が置いてある部屋を綺麗に掃除しておくと良いです。

塚本謙一の骨董講座01【古伊万里焼】

古伊万里の鑑定
 伊万里磁器は骨董の世界では非常に人気ある分野ですから、骨董を勉強したいと考える方はきちんと勉強していただきたいと思います。
 数年前に伊万里ブームがありまして、大変高額な値がついたことから贋作が横行しました。そこで初心者の皆さんがこうした贋作を見極めるにはどうしたら良いのかということを考えてみたいと思います。

 伊万里の研究・鑑定は文様、形、釉薬の掛かり方、磁器の厚さ薄さ、釉薬を掛けたところに残る陶工の手のあと、呈色剤である呉須(酸化コバルト)の色合い、色絵釉薬の色合いなどを手がかりになされますが、どれ一つ取り上げても初心者には難しい鑑定方法で、例外も多いことばかりです。
 そこで簡単に見分ける方法がないか考えてみましたが、初心者にもわかりやすい以下の3点がもっとも簡単で、しかも真作と贋作を見抜く確立の高い方法であることに気が付きました。しかし贋作作りはこういう見分け方を発表するとそれをまた工夫して上を行く贋作を作りますから、これではいわゆる「いたちごっこ」になりかねませんことをつけ加えておきます。

 

●1番目のポイント
皿などの作品を横から水平にして見たときに、皿の縁が手前と奥でゆがんでいること。水平にしたときに、皿の縁が前も後ろもすべて水平に近いものは、怪しいものが多いということです。

これは昔の作品はすべて薪で窯を焚き、しかも温度計がない時代のこと、温度管理を目に頼ったためか焼成の温度がつねに上下したためと考えられます。 焼き物は高温になると20%から25%収縮します。それがむらのある温度で焼成しますと陶磁器の「ゆがみ」「ひずみ」「割れ」の原因になります。 現代に焼成されたいわゆる贋作は、生産に手間のかかる高価な薪を使うわけにはゆかず、安価な石油、ガス、電気を使った窯で焼成します。 またそうした現代の窯はコンピューターによる温度管理がなされ、一定温度で長時間の焼成が可能になりました。 その結果温度差による「ゆがみ」「ひずみ」「割れ」が極めて少なくなりました。そこで皿を水平にしてゆがんだ皿であれば本物への第一段階は合格ということになります。

 

●2番目のポイント
 さて次は表面をしっかり見てください。若干の例外もあり ますが、お皿であれば縁や見込み(皿の表面をいう)を見ると、小さなキズが無数についています。

いわゆる使用された事の証明としての使用痕です。長い間実際に使われたことによるスレキズで、10倍程度のルーペならしっかり見えます。 ポイントは無数の小さなキズがそれぞれ違った方向に向いて付いていることです。水平にすべてのキズが付いていたりするものは、サンドペーパーなどで後で故意に付けられた可能性があります。 小さいキズが無数に、しかも多方面についているものであればよいでしょう。徳利や壷なども表面を詳細に観察してください。

 

●3番目のポイント
 最後は「テカリ」です。テカリとは表面の釉薬の反射です。 これは2番目のポイントでの小さいキズが無数に、しかも多方面についていることにも関係しますが、出来立ての作品はピカピカしています。 古い作品、特に数百年を経ている古伊万里の磁器などには釉薬の劣化現象(時代を経ると釉薬が次第に光沢を失なってゆく現象)と小キズのためこのテカつきが少なくなります。 それからお皿の見込みの反射が鏡のようにまっ平に見える場合は新しい作品の可能性が強くなります。

「ゆがみ」と無数の小キズ、テカリが少なく、見込みの反射がムラがあれば真作である可能性が高くなります。

 この3点のポイントをしっかりマスターされますと、贋作のかなりの部分を排除できると思います。 しかし贋作の中には極めて巧妙なものがあることと、例外もままあるということを知ってください。骨董の鑑定は「これで完璧」ということはありません。 あくまでも簡易な見分け方であり、それ以上のポイントはみなさんがこれからいろいろな作品に出会って、日々研鑽していただかなければなりません。それが本当の面白さなのです。